雨時
RAIN
「傘盗まれちゃったんだ」
燈星(とうせい)が聖子に言う。
「うん、多分誰かが間違えて持って行っちゃった
んだと思う」
聖子は沈み気味に答えた。
二人は下駄箱の前にあるベンチコーナーに座っていた。
お互いに帰る手段もないし、することもないから
とりあえず、座って話すことにした。
「そういえば、名前訊いてなかったな。
キミ名前なんて言うの?」
燈星が聖子に訊き、直ぐに言い直した。
「ゴメン、普通訊く方から名乗るもんだよね。
僕の名前は燈星。子葉(しよう)燈星て言うンだ、ヨロシク」
終わりまで聞いて少し間を空(あ)けてから、
笑った。少し、淋しそうに。
少なくとも、僕にはそうみえた。
彼女が口を開き僕に言った。
「私の名前は聖子。菊澤聖子よ、こちらこそヨロシク。
燈星君の名前って変わってるね」
菊澤聖子と名乗った彼女はまた、笑った。
僕は少し変な気分になった。
「そうかな?僕は結構気に入ってるんだけど。
他の人とは絶対かぶらなそうな名前じゃない?」
彼女は少し考えてからこう言った。
「そうね、確かにいないわ。その名前ってお父さんが付けたの?」
彼女が訊いてきた。僕は、少し考えてみる。
誰だったかな?
確か、母さんが言ってた気がする。
(えーっと、・・・燈星の「燈」は隅々まで照らす光。そこに「星」を足して
すべてを照らす星になってくれって言ってったな、・・・その後に・・・
・・思い出した!)
僕は彼女の方に向き答えた。
「燈星って名前をつけたのは僕の両親だよ」
私は「両親」という言葉を聞いて一瞬ドキリとした。
とりあえず、ここまで書きました、もうちょい待って!!
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