雨時
RAIN 2
私立K高校1年4組の教室の窓から眺める景色は雨によって霞んでいる。
それに加えて、教室の窓から離れた席にいる私には大粒の雨しか見えない。
こんな日はただただ憂鬱で仕方ない、どんよりとした空気に私が飲まれてしまい
そうな溶けていってしまいそうなそんな感じがするから。
さらに、最近は家族のことで悩んでいる。
お母さんとお父さんの仲が最近急激に悪くなった。
原因は何だろう?
私はその原因を知っている、ハズ。知っているけど、でも、何なのか解らない。
なぜ?
解らない。
そして、私は急にハッとして、意識を授業に集中させる。
(今は、授業に集中しなきゃ。)
そう、心の中でつぶやいた。
しかし、何かクラスの様子がおかしい、皆なぜか私を見ている。
そこでまた、私はハッとした。
「どうしたんですか?菊澤(きくざわ)さん。具合でも悪いの?」
英語の先生が問い掛けてきた。
私は、一瞬間を置いてから答えた。
「大丈夫です」
「そう、ならいいけど。・・・じゃあ、ここの問題分かる?」
と、言いながら黒板に書かれた問題を指し示した。
私は少し考えてから答えた。
・・・だから、私は雨の日が嫌いだ。
授業に集中しなきゃいけないのに余計なことを考えてしまう。
時計を見ると、もうそろそろで6時限目が終わる。今日の授業はこれで終わりだ。
部活も運動部だから、今日は中止だろう。
終業のチャイムが鳴った。
皆が教科書を片付け始めた。
「セーコ、大丈夫??最近ボーっとしてること多くない??」
友人が話しかけてきた。
「うん、そうかも。でも、大丈夫だよ!私の取り柄は元気だけよ?」
やや自棄気味(やけぎみ)に友人に返す。
「アハハ、普通自分で言うかなぁ?」
友人は笑った。
「大丈夫そうだね。じゃあ、私部活行くから、じゃあね、セーコ♪」
「うん、じゃあね。」
私はそのまま、帰る支度をして教室を出る。
下駄箱について靴を履き替える。履き替えて傘を取ろうとして気付いた。
(あっ、傘がない。・・・どうしよう。)
私はあたふたと周りを見まわした。
と、私の近くに一人の男子がみえた。彼はこっちを見ている。
「どうしたの?もしかして傘忘れたのかい?」
これが私、菊澤聖子と、彼、子葉燈星の出会い。
そして、私の悩みが消える出来事だった。
BACK TO PAGE