涙
Tears
「なにこのちまちましてるものたちは?」
「なにって、声まね」
そんなことを言い合いながら周りにいた1匹を掴んで近くで見てみる。
その妖怪は眼が大きく逆に口は小さかった。頭には短い毛が何本か
生えていた。指はちゃんと5本あり服まで着ていた。
「妖怪ってみんなこんなの?」
菜緒が聞く。
「そういうわけでは・・・」
「ふーん」
場所は再び菜緒の家にもどる。
「ふう、あとは誘い手が現れるの待つだけだね」
閻は軽いため息をついて絨毯(じゅうたん)の上に横になった。
「え?今すぐ見つけられるんじゃないの?」
菜緒が聞く。閻はさっき横にしたばかりの身体を起こし菜緒の方
を向いて
「あのねぇ、いくらボクが閻魔大王だからってそこまで万能じゃな
いんだよ?まあ、多少は非現実的なことが出来るけどあとは普通の
人間と同じなんだから」
と、外見が猫の閻魔大王は言った。
「え、でも妖気とかそういうの探してたどりつけるんじゃないの?」
「某マンガじゃあるまいしそんなこと出来ないよ」
この猫は全く持って無駄な知識を持ってるなと思いながら
閻に言った。
「じゃあ、誘い手が現れるまで誘い手について教えてよ」
閻は一瞬考えてからすぐに答えた。
「いいよ、話してあげる。じゃあ、まず誘い手の正体から・・・」
「ふーん。誘い手は水難にあって死んでしまった人の霊に低級霊が
合体した霊で、その溺れ死んだ場所の周囲に現れて人を襲う、と」
「うん」
「そして、人を襲った後は手頃な建物に取り憑いて溜めておく、と」
「うん、そう」
「1回襲うごとに1匹ずつ減るのは捕まえた人間が眼を覚まさない
ために眠りを誘う妖気をあてている、と」
「そうそう」
「1回襲った後しばらく襲わないのは深い眠りにつかせるために
全員で妖気をあてて力を使っていたから、と」
「そう、それで体力回復のためにね」
「元を辿ると合体した低級霊は天獄庁の低層階から溢れ出て
こっちの世界にきた、と」
「よくできました!」
閻はそう言って立ち去ろうとしたがそれは叶わなかった。
「つまり、君のせいで真希が捕まったってコトだよね〜?」
そう言いながら手はしっかりと閻の尻尾を鷲掴みにしている。
「いや、だから、それは・・・天獄庁の中の誰かがやったわけであって
・・・ボクに責任は・・・・」
「おおありよ!あんたのせいでわたし達が
巻き込まれたんじゃない!」
菜緒は閻に怒鳴る。菜緒の眼には大粒の涙が溢れていた。
「・・・ごめんよ、菜緒ちゃん」
閻は素直に謝った。
翌日聡木 真希が行方不明だということを学校から全生徒へ
知らせが回された。
To be contenued...